安静時心拍数(RHR : Resting Heart Rate)とは、安静時に心臓が1分間に何回拍動するかを示すものです。これは心臓の健康の目安になり、加齢の状態を示すサインでもあります。安静時心拍数は健康状態を計測する簡単で優れた方法の一つです
一般に安静時心拍数の正常値は約60~100回/分と言われています。日本人間ドック学会の判定区分では45~85回/分が「異常なし」です。多くの人の値はおよそ65±10回/分の範囲内に収まります(年齢等によって異なります)。一方で、トレーニングを受けたアスリートは安静時心拍数が低く、約40回/分という人もいます。一般的には、心臓が効率的に機能して心肺能力が向上すると安静時の心拍数は低くなります。
安静時心拍数には多くの変動要因が影響を与えます。例えば、睡眠時間、活動量、ストレスなどです。以下のような要因が安静時心拍数に影響を与える可能性があることに留意してください。
• 年齢
• 運動や活動量
• 喫煙
• 心血管疾患、高コレステロール、糖尿病
• 気温
• 姿勢(立っているか寝ているかなど)
• 感情
• 体格
• 服用している薬
安静時心拍数は一般的には年齢とともに増加します。以下の年齢別の表で自分と同じ年齢層の安静時心拍数と比較してみてください。
表1. 男性の安静時心拍数(1分間の拍動数)
表2. 女性の安静時心拍数(1分間の拍動数)
1. 脈を図ります。人差し指と中指を脈が感じられるところに置きます。通常は手首の内側や首の側面などです。
2. 15秒間の心拍数を数えます。
3. 15秒で数えた心拍数を4倍して、1分間の心拍数を計算します。
こうして計測された数値があなたの安静時心拍数です。
安静時心拍数を確認する最適な時間は、朝目が覚めた直後、起き上がる前です。毎日同じ時間に、休息状態で安静時心拍数を確認することで、正確な数値が得られます。
安静時心拍数には個人差があり、まず自分の平均的な値を知っておくことが必要です。睡眠不足や体調不良などの際には普段より数値が上がる傾向があり、体調管理を心掛けるサインになります。
安静時心拍数の上昇には注意が必要です。研究によれば、心拍数が1分間に70回を超えると血圧が上がらなくても心血管疾患による死亡が増えることや、心拍数が1分間あたり60台から10回増えるごとに死亡率が増加することが報告されています。
また、安静時心拍数が非常に高い・低い場合には健康に問題がある可能性があります。安静時心拍数が速く、1分間に100回を超える状態を「頻脈」といいます。心拍数が速すぎると心臓は効率的に働くことができず、動悸(どうき)やめまい・息切れ・立ちくらみなどのほか、失神や、心不全に至る血栓、心停止などにつながる危険な状態です。 頻脈、つまり安静時心拍数が高いことの原因としては、ストレス、疲労、睡眠不足などのほか、先天性心疾患、貧血、高血圧、心臓発作などが考えられます。
逆に安静時心拍数が遅く、1分間に60回以下の状態を「徐脈」といいます。こちらは脳への血流不足を引き起こし、めまいや息切れ・過度の疲労感のほか、失神などにつながる危険な状態です。
徐脈、つまり安静時心拍数が低いことの原因には、加齢のほか、低血圧、先天性心疾患、心臓病、心臓発作、心筋炎などが考えられます。その一方で先に見たようにスポーツ選手は少ない心拍数で血液を送り出すことができ、良い理由で心拍数が低いこともあります。
ある研究で参加者が12週間、ランニングマシン・バイク・ステップミルの有酸素運動プログラムを続けた結果、安静時心拍数は平均69回から66回に減少しました。ただ、有酸素運動プログラムを中止すると、安静時心拍数は再び約69に戻ってしまいました。安静時心拍数を低く保つためには、運動を継続する必要があるようです。
長生きする人が多い長寿地域(「ブルーゾーン」と呼ばれます)の住民は豆類を多く摂取しています。豆は心拍数を下げるのに役立ち、健康に良い食品の一つです。
ある研究で、参加者に1日にカップ1杯のひよこ豆やレンズ豆などの豆類を与えたところ、参加者の安静時心拍数は平均74.1回から70.7回と、3.4回下がりました。この変化は、250時間運動した他の研究の参加者と同様の結果でした。
GO2SLEEPは安静時心拍数の測定によりあなたの健康管理をサポートすることを目的としています。病状の自己判断や医師との相談での利用、疾患の診断・治療・予防への使用を目的としていません。健康の変化や懸念があるときには医師の診察を受けてください。